「デザインを一新してリニューアルしたのに、アクセスが半分になった」
「問い合わせがパタリと止まってしまった」
「制作会社に聞いても『様子を見ましょう』としか言われない」
Webサイトリニューアルにおける「SEOの失敗」は、企業の存続に関わる重大事故です。
きれいなデザインになっても、ユーザーが辿り着けなければ意味がありません。
そして、このタイプの下落は「待っていても戻らない」ケースがほとんどです。
この記事では、リニューアル失敗からのリカバリー案件を数多く担当してきたIRORI(株式会社Cominka)のテクニカルSEOチームが、アクセスの急落原因を特定するチェックリストと、最短で順位を回復させるための具体的な手順を、9000文字を超えるボリュームで徹底的に解説します。
リニューアル後に順位・アクセスが落ちる「正常」と「異常」の境界線
まず冷静になりましょう。リニューアル直後の変動には「一時的なもの」と「致命的なもの」があります。
一時的な変動(正常範囲)
- 期間:リニューアル後 1〜2週間程度
- 下落幅:全体の 10〜20% 程度
- 原因:URL構造が変わった場合、Googleが新旧URLを再クロールして評価を継承するのに時間がかかるため。
致命的な失敗(異常事態)
- 期間:1ヶ月経っても戻らない、あるいは下がり続けている
- 下落幅:30%〜80%以上の激減
- 原因:SEO評価を引き継ぐ設定(リダイレクト等)に失敗している、またはインデックスを拒否している。
もしあなたのサイトが後者に当てはまるなら、今すぐ外科手術が必要です。
【緊急チェック】SEO失敗の原因特定リスト(10選)
アクセス激減の原因の9割は、以下のいずれか(または複合)です。
エンジニアや制作会社と一緒にチェックしてください。
レベル1:インデックス・表示設定(初歩的ミス)
□ 1. noindexタグが残っていないか?テスト環境の設定(検索エンジンに登録させない設定)が、本番環境にそのまま残っていませんか?
ソースコードを開き、<meta name="robots" content="noindex"> を検索してください。□ 2. robots.txt でブロックしていないか?Googlebotの巡回を拒否していませんか?domain.com/robots.txt にアクセスし、Disallow: / という記述がないか確認してください。□ 3. title / description は入っているか?デザイン重視でヘッドレスCMSなどを導入した際、メタタグの実装が漏れていて「タイトルなし」になっているケースが多発しています。
レベル2:評価の引き継ぎ(リダイレクト)
□ 4. 301リダイレクトは設定されているか?古いURLにアクセスした時、新しいURLへ自動転送されますか?
「404 Not Found」になっていれば、過去のSEO評価は全て消滅します。□ 5. リダイレクト先は正しいか?(対照表の確認)「全ての旧ページ」を「新しいトップページ」に飛ばしていませんか?
これ(ソフト404扱い)をやると、個別記事の評価がゼロになります。ページ対ページ(A→A’)で転送する必要があります。
レベル3:コンテンツと構造
□ 6. 重要なテキストを削除していないか?「デザインをスッキリさせたい」という理由で、SEOで評価されていた長文テキストやキーワードを削っていませんか?□ 7. テキストが画像化されていないか?Googleは画像の文字を完全には読めません。見出しなどが画像になっていると評価が下がります。□ 8. 内部リンク構造は維持されているか?パンくずリストやサイドバーのリンクが消え、クローラーが巡回できない「孤立ページ」が増えていませんか?
レベル4:技術的な問題
□ 9. JavaScriptのレンダリング問題(SPA/Reactなど)GooglebotがJavaScriptを実行できず、真っ白なページとして認識されている可能性があります。
Google Search Consoleの「URL検査」で、レンダリング結果を確認してください。□ 10. 表示速度の極端な悪化リッチなアニメーションや巨大な画像を使いすぎて、PageSpeed Insightsのスコアが赤点(30点以下など)になっていませんか?
3. V字回復のためのリカバリー手順
原因が特定できたら、以下の手順で修正を行います。
スピード勝負です。早ければ早いほど、元の順位に戻る確率は高まります。
Step 1: 致命的なエラーの修正(即日)
noindex や robots.txt のブロック、500エラー などの閲覧不可状態は、発見次第その場で修正し、Search Consoleで「検証を修正」ボタンを押してください。
Step 2: 301リダイレクトの再設定(1週間以内)
リダイレクト漏れがある場合は、.htaccess やサーバー設定ファイル追記します。
もし旧URLのリストがない場合は、Google Analyticsの過去データや、Wayback Machineなどを使って発掘します。
Google検索セントラルの公式見解
Googleの公式ドキュメント「サイトの移転を伴うサイト移転」では、以下の通り定義されています。
“URL の変更を伴うサイト移転を行う場合は、サーバー側の 301 リダイレクトを使用することをおすすめします。これにより、ユーザーと検索エンジンが正しいページに確実に誘導されるようになります。”
また、リダイレクトの設定期間については「少なくとも 1 年間はリダイレクトを維持する」ことが推奨されています。
また、リダイレクトの設定期間については「少なくとも 1 年間はリダイレクトを維持する」ことが推奨されています。
Step 3: コンテンツの復元(2週間以内)
「削ってしまったテキスト」が原因の場合、デザインを多少犠牲にしてでも、旧サイトのテキスト情報を復活させてください。
アコーディオンUI(クリックで開く)などに格納しても良いので、HTML内にテキストを戻すことが最優先です。
Step 4: インデックス登録リクエスト
修正が終わったら、Search Consoleの「URL検査」ツールや「サイトマップ送信」を使って、Googleに修正を伝えます。
クローラーが来るのを待つのではなく、呼び込みます。
リニューアルで絶対にやってはいけないNG行動
NG 1: URLを無意味に変更する
SEOの観点では、URLは変えないのがベストです。/column/123 を /blog/post-123 に変えるなど、ディレクトリ構造の変更は必要最小限に留めましょう。
NG 2: 302リダイレクトやJSリダイレクトを使う
恒久的な移転には必ず「301リダイレクト」を使います。
Googleの仕様上、302(一時的)リダイレクトは「今のURLをインデックスに残す」というシグナルになるため、新しいページへの評価引き継ぎが行われません。
「meta refresh」や「JavaScript転送」も推奨されておらず、301が技術的に不可能な場合の最終手段です。
NG 3: Search Consoleの設定し直しを忘れる
ドメイン変更を伴う場合(example.com → new-example.com)、Search Consoleで「アドレス変更ツール」を使用する必要があります。
制作会社に責任はあるのか?
非常に難しい問題ですが、「SEO順位の保証」を契約に含んでいない限り、法的に責任を問うのは難しいのが現状です。
一般的なWeb制作会社は「デザインと実装」のプロであり、「SEO」のプロではないことが多いからです。
だからこそ、リニューアルプロジェクトには、制作会社とは別に「SEOコンサルタント(PM)」をアサインし、設計段階からSEO要件を組み込むことが不可欠なのです。
まとめ:諦めなければ順位は戻る
リニューアルによる順位下落は、原因さえ特定できれば、技術的に修復可能です。
最も怖いのは「原因がわからないまま放置すること」です。
もし自社だけで原因が特定できない、制作会社と話が通じない場合は、セカンドオピニオンとしてSEOの専門家に見てもらうことをお勧めします。