「問い合せフォームの項目が多すぎて、入力するのをやめてしまった」 「ECサイトの決済方法が分かりにくく、結局購入を諦めた」
あなたにも、このような経験はありませんか? これらの「使いにくさ」が原因で、Webサイトからユーザーが離脱し、ビジネスの機会損失に繋がるケースは、オンラインの世界では日常茶飯事です。
この深刻な問題を解決し、ユーザー体験を向上させ、ビジネスの成果を最大化するための鍵こそが「ユーザビリティ」です。
ユーザビリティは、単なる「使いやすさ」という曖昧な感覚ではありません。ユーザーの行動を科学的に分析し、コンバージョン率(CVR)などのビジネス成果に直結させる、体系的なアプローチです。
この記事では、ユーザビリティの国際的な定義から、混同されがちな「UI」「UX」「アクセシビリティ」との明確な違い、そしてビジネスにおける重要性までを徹底解説します。さらに、ユーザビリティを評価・改善する具体的な手法や、改善によってCVRを劇的に向上させた成功事例も紹介します。

ユーザビリティの正確な定義
「ユーザビリティ」という言葉は日常的に使われますが、国際規格や専門家の間では、より明確に定義されています。ここでは最も権威のある2つの定義を紹介します。これらは対立するものではなく、互いに補完し合う関係にあります。
国際標準が定めるユーザビリティ
ユーザビリティに関する最も信頼性の高い定義は、国際標準化機構(ISO)の規格「ISO 9241-11」に記載されています。
この定義の重要なポイントは、ユーザビリティとは「製品そのものの品質」ではなく、「特定の状況下で、特定のユーザーが得る利用の成果」であると示している点です。この定義は、以下の4つの構成要素から成り立っています。
- 効果 (Effectiveness): ユーザーが目標を「正確に」「完全に」達成できたか。例えば、目的の日付のチケットを間違いなく購入できたかどうかが「効果」です。
- 効率 (Efficiency): 目標達成のために、時間や労力などの資源を「どれだけ少なく」費やしたか。数クリックで2分で買えるのと、10分かけて何度も再入力するのでは、効率が全く異なります。
- 満足度 (Satisfaction): 製品の利用体験に対して、ユーザーが「主観的にどう感じたか」。ストレスなく快適に操作できたか、それともイライラしたか、という感情的な側面を指します。
- 利用状況 (Context of Use): 「誰が、何を、何を使って、どこで」利用するのかという文脈。例えば、若者が静かなオフィスでPCを使う場合と、高齢者が騒がしい電車でスマートフォンを使う場合では、同じサイトでもユーザビリティの評価は全く異なります。
専門家が提唱するユーザビリティの5要素
ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士は、優れたインターフェースが持つべき具体的な「品質特性」として、より実践的な5つの要素を提唱しています。
- 学習しやすさ (Learnability): 初めてのユーザーでも、直感的に操作を理解し、基本的なタスクを達成できるか。
- 効率性 (Efficiency): 操作に慣れたユーザーが、迅速にタスクを実行できるか。(例:ショートカットキー、再注文機能など)
- 記憶しやすさ (Memorability): しばらく使わなくても、ユーザーが操作方法をすぐに思い出せるか。
- エラー (Errors): ユーザーがどれだけエラーを起こしにくいか。また、エラーが発生しても、どれだけ簡単に回復できるか。
- 主観的満足度 (Satisfaction): システムの利用が、ユーザーにとってどれだけ快適で楽しい体験だったか。
この2つの定義は、ISOが「何を測定するか(成果)」を示し、ニールセンの5要素が「どうやってそれを実現するか(設計指針)」を示す関係にあります。両方を理解することで、ユーザビリティを戦略的に改善する全体像が見えてきます。
関連用語との違いを明確にする
ユーザビリティを理解する上で、しばしば混同される「UI」「UX」「アクセシビリティ」との違いを明確にしておきましょう。
- ユーザビリティとUI: UI(ユーザーインターフェース)は、ボタンやレイアウトといった「部品そのもの」です。対してユーザビリティは、それらの部品を使った際の「使い心地の良さ」を評価する指標です。どれほど美しいUI(部品)でも、使いにくければユーザビリティは低いと評価されます。
- ユーザビリティとUX: UX(ユーザーエクスペリエンス)は、製品を知ったきっかけから利用後のサポートまで含めた「すべての体験」を指す、非常に広い概念です。その中でユーザビリティは、製品を利用している最中の「使いやすさ」に特化した、良いUXを構成する重要な一部分です。
- ユーザビリティとアクセシビリティ: ユーザビリティが「特定のターゲットユーザー」の使いやすさを追求するのに対し、アクセシビリティは、年齢や障害の有無に関わらず「すべてのユーザー」が情報にアクセスし、利用できることを目指します。
用語 | 主な目的 | 対象範囲 | 具体例 |
UI | ユーザーとの接点を提供する | 見た目、レイアウト、ボタン、フォント | Webサイトの検索ボタンのデザインや配置 |
ユーザビリティ | 特定のユーザーが目標を効率的に達成できるか | 製品・サービス利用中の「使いやすさ」 | 検索ボタンが直感的に見つかり、迷わず押せるか |
アクセシビリティ | 誰でも情報や機能にアクセスできるか | 障害の有無や状況に関わらない「利用しやすさ」 | 視覚障害者がスクリーンリーダーで検索ボタンを認識できるか |
UX | ユーザーに価値ある体験を提供できたか | 製品・サービスに関する全ての体験・感情 | 検索結果に満足し、「良い買い物ができた」と感じる体験 |
なぜユーザビリティがビジネスで重要なのか
ユーザビリティへの投資は、単なる親切設計ではありません。企業の収益に直接影響を与える、重要な経営戦略です。
1. コンバージョン率の劇的な向上
ユーザビリティ改善とは、本質的に「ユーザーが目標を達成するまでの障害物を取り除く作業」です。複雑な入力フォームや分かりにくい料金体系は、ユーザーの離脱に直結します。 例えば、入力項目を最適化する施策(EFO: Entry Form Optimization)だけで、フォームの完了率が劇的に向上し、CVRが倍増するケースも珍しくありません。
2. 顧客満足度とブランドロイヤルティの構築
ストレスなく目的を達成できたユーザーは、サービスに対して「信頼できる」「また使いたい」という好意的な印象を抱きます。このポジティブな体験の積み重ねが、顧客満足度を高め、長期的なファン(ロイヤルカスタマー)を育みます。
3. SEOへの間接的な貢献
ユーザビリティは、Googleの直接的なランキング要因ではありません。しかし、使いやすいサイトは「滞在時間が長い」「直帰率が低い」といった良いユーザー行動を生み出します。これらの指標は、Googleが「このサイトはユーザーの満足度が高い」と判断するための強力なシグナルとなり、間接的に検索順位の向上に貢献します。 ユーザビリティの低いサイトは、広告費をかけて集客しても、ユーザーを逃してしまう「穴の開いたバケツ」のようなものです。ユーザビリティへの投資は、その穴を塞ぎ、あらゆるマーケティング活動のROI(投資対効果)を向上させます。
ユーザビリティを評価し改善する代表的な手法
ユーザビリティは、以下の手法を組み合わせることで、科学的に評価・改善できます。
- ユーザビリティテスト: 実際のユーザーに製品を操作してもらい、行動を観察して課題を発見する定性的手法。制作者の思い込みを排除し、本質的な問題を発見するのに最適です。
- ヒューリスティック評価: 専門家が経験則(ヒューリスティクス)に基づき、インターフェースの問題点を洗い出す手法。低コストかつ短期間で実施できます。
- A/Bテスト: 2つのデザイン(A案/B案)を実際にユーザーに試し、どちらがより高い成果(CVRなど)を比較する定量的手法。データに基づいて最適な答えを導き出せます。
これらの手法は、単独で使うのではなく、サイクルを回すことで最大の効果を発揮します。まず、アクセス解析などで「何が」起きているか(問題箇所)を発見し、次にユーザビリティテストで「なぜ」それが起きているか(原因)を深掘りします。そして、原因に基づいた改善仮説を立て、A/Bテストでその解決策が有効か(効果)を証明するのです。
ユーザビリティ改善の成功事例
理論だけでなく、実際の改善がビジネスにどう結びついたか、具体的な成功事例を見てみましょう。
企業/サービス | 課題 | 改善施策 | 成果 |
WorkZone (BtoBサービス) | デモ依頼フォームが他の要素に埋もれて目立たなかった | フォーム横の顧客ロゴを白黒に変更し、フォームを際立たせた | フォーム送信数が34%増加 |
吉本興業 | ログイン画面に「新規登録」ボタンがなく、機会損失が発生 | ログイン画面に分かりやすく「新規登録」ボタンを設置 | 新規会員登録数が18%増加 |
Grene (ECサイト) | ミニカートのUIが分かりにくく、購入プロセスへの移行が阻害されていた | CTAボタンの追加やレイアウトを全面的に改善 | 購入数量が2倍に増加 |
WorkZone社の事例
- 課題: BtoBサービスのデモ依頼フォームが、ページ上の他の要素(顧客のロゴなど)に埋もれてしまい、目立たず、送信数が伸び悩んでいました。
- 改善施策: フォームの視認性を高めるため、隣に配置されていたカラフルな顧客レビューのロゴを白黒に変更し、相対的にフォームが際立つようにしました。
- 成果: ユーザーの注意をフォームに集中させるという小さな変更で、フォーム送信数が34%増加しました。
引用元: https://growth-marketing.jp/knowledge/abtest-case/
吉本興業ホールディングス株式会社の事例
- 課題: チケット販売サイトのログイン画面に「新規登録」ボタンがなく、初めて利用するユーザーが登録方法を見つけられず、機会損失が発生していました。
- 改善施策: ログイン画面に分かりやすく「新規登録」ボタンを設置しました。
- 成果: この単純な変更により、新規会員登録数が18%増加しました。
引用元: https://kaizenplatform.com/case/ticket-yoshimoto2
Grene社の事例
- 課題: ユーザーが商品を追加した際に表示されるミニカートのUIが分かりにくく、「カートに進む」ボタンを見つけるためにスクロールが必要な場合があるなど、購入プロセスへの移行を妨げていました。
- 改善施策: ミニカートの上部にCTAボタンを追加し、各商品の削除ボタンと合計金額を明確に表示。さらに「カートに進む」ボタンのサイズを大きくして視認性を高めるなど、レイアウトを全面的に改善しました。
- 成果: サイト全体のコンバージョン率が向上しただけでなく、購入数量が2倍に増加するという大きな成果を上げました。
引用元: https://growth-marketing.jp/knowledge/abtest-case/
まとめ:ユーザビリティはビジネス成長のエンジンである
本記事では、ユーザビリティの定義からその重要性、具体的な改善手法と成功事例までを解説しました。
結論として、ユーザビリティはもはや「アート」や「感覚」の世界ではなく、測定可能で、体系化された「科学」です。そして最も重要なのは、ユーザビリティへの投資が、CVRの向上や顧客ロイヤルティの構築といった、測定可能なビジネス成果に直接結びつくという事実です。
あなたのWebサイトは、訪れたユーザーが一切迷うことなく、快適に目的を達成できる設計になっているでしょうか? もしその問いに自信を持って「はい」と答えられないのであれば、そこにこそ、あなたのビジネスを次のステージへと押し上げる、大きなチャンスが眠っています。
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