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ユーザビリティとは?UXとの違いからCVR改善事例まで

ユーザビリティとは?UXとの違いからCVR改善事例まで SEO対策
更新日:2025年7月26日
Cominka Labo Team

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「問い合せフォームの項目が多すぎて、入力するのをやめてしまった」 「ECサイトの決済方法が分かりにくく、結局購入を諦めた」

あなたにも、このような経験はありませんか? これらの「使いにくさ」が原因で、Webサイトからユーザーが離脱し、ビジネスの機会損失に繋がるケースは、オンラインの世界では日常茶飯事です。

この深刻な問題を解決し、ユーザー体験を向上させ、ビジネスの成果を最大化するための鍵こそが「ユーザビリティ」です。

ユーザビリティは、単なる「使いやすさ」という曖昧な感覚ではありません。ユーザーの行動を科学的に分析し、コンバージョン率(CVR)などのビジネス成果に直結させる、体系的なアプローチです。

この記事では、ユーザビリティの国際的な定義から、混同されがちな「UI」「UX」「アクセシビリティ」との明確な違い、そしてビジネスにおける重要性までを徹底解説します。さらに、ユーザビリティを評価・改善する具体的な手法や、改善によってCVRを劇的に向上させた成功事例も紹介します。

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ユーザビリティの正確な定義

「ユーザビリティ」という言葉は日常的に使われますが、国際規格や専門家の間では、より明確に定義されています。ここでは最も権威のある2つの定義を紹介します。これらは対立するものではなく、互いに補完し合う関係にあります。

国際標準が定めるユーザビリティ

ユーザビリティに関する最も信頼性の高い定義は、国際標準化機構(ISO)の規格「ISO 9241-11」に記載されています。

この定義の重要なポイントは、ユーザビリティとは「製品そのものの品質」ではなく、「特定の状況下で、特定のユーザーが得る利用の成果」であると示している点です。この定義は、以下の4つの構成要素から成り立っています。

  • 効果 (Effectiveness): ユーザーが目標を「正確に」「完全に」達成できたか。例えば、目的の日付のチケットを間違いなく購入できたかどうかが「効果」です。
  • 効率 (Efficiency): 目標達成のために、時間や労力などの資源を「どれだけ少なく」費やしたか。数クリックで2分で買えるのと、10分かけて何度も再入力するのでは、効率が全く異なります。
  • 満足度 (Satisfaction): 製品の利用体験に対して、ユーザーが「主観的にどう感じたか」。ストレスなく快適に操作できたか、それともイライラしたか、という感情的な側面を指します。
  • 利用状況 (Context of Use): 「誰が、何を、何を使って、どこで」利用するのかという文脈。例えば、若者が静かなオフィスでPCを使う場合と、高齢者が騒がしい電車でスマートフォンを使う場合では、同じサイトでもユーザビリティの評価は全く異なります。

専門家が提唱するユーザビリティの5要素

ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士は、優れたインターフェースが持つべき具体的な「品質特性」として、より実践的な5つの要素を提唱しています。

  • 学習しやすさ (Learnability): 初めてのユーザーでも、直感的に操作を理解し、基本的なタスクを達成できるか。
  • 効率性 (Efficiency): 操作に慣れたユーザーが、迅速にタスクを実行できるか。(例:ショートカットキー、再注文機能など)
  • 記憶しやすさ (Memorability): しばらく使わなくても、ユーザーが操作方法をすぐに思い出せるか。
  • エラー (Errors): ユーザーがどれだけエラーを起こしにくいか。また、エラーが発生しても、どれだけ簡単に回復できるか。
  • 主観的満足度 (Satisfaction): システムの利用が、ユーザーにとってどれだけ快適で楽しい体験だったか。

この2つの定義は、ISOが「何を測定するか(成果)」を示し、ニールセンの5要素が「どうやってそれを実現するか(設計指針)」を示す関係にあります。両方を理解することで、ユーザビリティを戦略的に改善する全体像が見えてきます。

関連用語との違いを明確にする

ユーザビリティを理解する上で、しばしば混同される「UI」「UX」「アクセシビリティ」との違いを明確にしておきましょう。

  • ユーザビリティとUI: UI(ユーザーインターフェース)は、ボタンやレイアウトといった「部品そのもの」です。対してユーザビリティは、それらの部品を使った際の「使い心地の良さ」を評価する指標です。どれほど美しいUI(部品)でも、使いにくければユーザビリティは低いと評価されます。
  • ユーザビリティとUX: UX(ユーザーエクスペリエンス)は、製品を知ったきっかけから利用後のサポートまで含めた「すべての体験」を指す、非常に広い概念です。その中でユーザビリティは、製品を利用している最中の「使いやすさ」に特化した、良いUXを構成する重要な一部分です。
  • ユーザビリティとアクセシビリティ: ユーザビリティが「特定のターゲットユーザー」の使いやすさを追求するのに対し、アクセシビリティは、年齢や障害の有無に関わらず「すべてのユーザー」が情報にアクセスし、利用できることを目指します。
用語 主な目的 対象範囲 具体例
UIユーザーとの接点を提供する見た目、レイアウト、ボタン、フォントWebサイトの検索ボタンのデザインや配置
ユーザビリティ特定のユーザーが目標を効率的に達成できるか製品・サービス利用中の「使いやすさ」検索ボタンが直感的に見つかり、迷わず押せるか
アクセシビリティ誰でも情報や機能にアクセスできるか障害の有無や状況に関わらない「利用しやすさ」視覚障害者がスクリーンリーダーで検索ボタンを認識できるか
UXユーザーに価値ある体験を提供できたか製品・サービスに関する全ての体験・感情検索結果に満足し、「良い買い物ができた」と感じる体験

なぜユーザビリティがビジネスで重要なのか

ユーザビリティへの投資は、単なる親切設計ではありません。企業の収益に直接影響を与える、重要な経営戦略です。

1. コンバージョン率の劇的な向上

ユーザビリティ改善とは、本質的に「ユーザーが目標を達成するまでの障害物を取り除く作業」です。複雑な入力フォームや分かりにくい料金体系は、ユーザーの離脱に直結します。 例えば、入力項目を最適化する施策(EFO: Entry Form Optimization)だけで、フォームの完了率が劇的に向上し、CVRが倍増するケースも珍しくありません。

2. 顧客満足度とブランドロイヤルティの構築

ストレスなく目的を達成できたユーザーは、サービスに対して「信頼できる」「また使いたい」という好意的な印象を抱きます。このポジティブな体験の積み重ねが、顧客満足度を高め、長期的なファン(ロイヤルカスタマー)を育みます。

3. SEOへの間接的な貢献

ユーザビリティは、Googleの直接的なランキング要因ではありません。しかし、使いやすいサイトは「滞在時間が長い」「直帰率が低い」といった良いユーザー行動を生み出します。これらの指標は、Googleが「このサイトはユーザーの満足度が高い」と判断するための強力なシグナルとなり、間接的に検索順位の向上に貢献します。 ユーザビリティの低いサイトは、広告費をかけて集客しても、ユーザーを逃してしまう「穴の開いたバケツ」のようなものです。ユーザビリティへの投資は、その穴を塞ぎ、あらゆるマーケティング活動のROI(投資対効果)を向上させます。

ユーザビリティを評価し改善する代表的な手法

ユーザビリティは、以下の手法を組み合わせることで、科学的に評価・改善できます。

  • ユーザビリティテスト: 実際のユーザーに製品を操作してもらい、行動を観察して課題を発見する定性的手法。制作者の思い込みを排除し、本質的な問題を発見するのに最適です。
  • ヒューリスティック評価: 専門家が経験則(ヒューリスティクス)に基づき、インターフェースの問題点を洗い出す手法。低コストかつ短期間で実施できます。
  • A/Bテスト: 2つのデザイン(A案/B案)を実際にユーザーに試し、どちらがより高い成果(CVRなど)を比較する定量的手法。データに基づいて最適な答えを導き出せます。

これらの手法は、単独で使うのではなく、サイクルを回すことで最大の効果を発揮します。まず、アクセス解析などで「何が」起きているか(問題箇所)を発見し、次にユーザビリティテストで「なぜ」それが起きているか(原因)を深掘りします。そして、原因に基づいた改善仮説を立て、A/Bテストでその解決策が有効か(効果)を証明するのです。

ユーザビリティ改善の成功事例

理論だけでなく、実際の改善がビジネスにどう結びついたか、具体的な成功事例を見てみましょう。

企業/サービス 課題改善施策成果
WorkZone (BtoBサービス)デモ依頼フォームが他の要素に埋もれて目立たなかったフォーム横の顧客ロゴを白黒に変更し、フォームを際立たせたフォーム送信数が34%増加
吉本興業ログイン画面に「新規登録」ボタンがなく、機会損失が発生ログイン画面に分かりやすく「新規登録」ボタンを設置新規会員登録数が18%増加
Grene (ECサイト)ミニカートのUIが分かりにくく、購入プロセスへの移行が阻害されていたCTAボタンの追加やレイアウトを全面的に改善購入数量が2倍に増加

WorkZone社の事例

  • 課題: BtoBサービスのデモ依頼フォームが、ページ上の他の要素(顧客のロゴなど)に埋もれてしまい、目立たず、送信数が伸び悩んでいました。
  • 改善施策: フォームの視認性を高めるため、隣に配置されていたカラフルな顧客レビューのロゴを白黒に変更し、相対的にフォームが際立つようにしました。
  • 成果: ユーザーの注意をフォームに集中させるという小さな変更で、フォーム送信数が34%増加しました。

引用元: https://growth-marketing.jp/knowledge/abtest-case/

吉本興業ホールディングス株式会社の事例

  • 課題: チケット販売サイトのログイン画面に「新規登録」ボタンがなく、初めて利用するユーザーが登録方法を見つけられず、機会損失が発生していました。
  • 改善施策: ログイン画面に分かりやすく「新規登録」ボタンを設置しました。
  • 成果: この単純な変更により、新規会員登録数が18%増加しました。

引用元: https://kaizenplatform.com/case/ticket-yoshimoto2

Grene社の事例

  • 課題: ユーザーが商品を追加した際に表示されるミニカートのUIが分かりにくく、「カートに進む」ボタンを見つけるためにスクロールが必要な場合があるなど、購入プロセスへの移行を妨げていました。
  • 改善施策: ミニカートの上部にCTAボタンを追加し、各商品の削除ボタンと合計金額を明確に表示。さらに「カートに進む」ボタンのサイズを大きくして視認性を高めるなど、レイアウトを全面的に改善しました。
  • 成果: サイト全体のコンバージョン率が向上しただけでなく、購入数量が2倍に増加するという大きな成果を上げました。

引用元: https://growth-marketing.jp/knowledge/abtest-case/

まとめ:ユーザビリティはビジネス成長のエンジンである

本記事では、ユーザビリティの定義からその重要性、具体的な改善手法と成功事例までを解説しました。

結論として、ユーザビリティはもはや「アート」や「感覚」の世界ではなく、測定可能で、体系化された「科学」です。そして最も重要なのは、ユーザビリティへの投資が、CVRの向上や顧客ロイヤルティの構築といった、測定可能なビジネス成果に直接結びつくという事実です。

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