メールマガジンやSNS、QRコード作成時など、長いURLをスッキリさせたい場面で活躍する「短縮URL」。 便利である一方で、「怪しいサイトだと思われないか?」「SEOに悪影響はないか?」といった不安を持つ担当者も少なくありません。
本記事では、短縮URLの仕組みやメリット・デメリットといった基礎知識から、ビジネスで使える安全な作成ツール、セキュリティ対策まで、実務に必要な情報を網羅的に解説します
まずは、お急ぎの方のために「これを選べば間違いない」トップ3をご紹介します。

短縮URLとは?仕組みをわかりやすく解説
短縮URLとは、https://www.example.com/very-long-url... のような長い文字列を、https://bit.ly/xyz のように短く変換したURLのことです。
短縮URLの仕組み(リダイレクト)
短縮URLは、単に文字を削っているわけではありません。「リダイレクト(転送)」という仕組みを使っています。
- ユーザーがクリック: 短縮URL(例:bit.ly/xyz)にアクセス。
- 中継サーバーへ: 短縮URLサービスのサーバーが「この短縮URLの本当の行き先」を照会。
- 転送(リダイレクト): 本来の長いURL(正規URL)へ自動的に転送される。
この「中継」の仕組みを理解しておくことが、後のセキュリティやSEOの話を理解するカギになります。
短縮URLを活用するメリット・デメリット
導入前に、良い点とリスクを正しく把握しておきましょう。
4つのメリット
1. 見た目がスッキリし、可読性が上がる SNS(特にX/旧Twitter)やSMSなど、文字数制限がある媒体で非常に有効です。長いURLが短くなることで、投稿本文が読みやすくなります。
2. リンク切れ(デッドリンク)を防止できる メールソフトなどでは、URLが長すぎると途中で勝手に改行が入ってしまい、クリックしてもページが開かない(リンクとして機能しなくなる)事故が起こります。短縮URLならこのリスクを完全に防げます。
3. クリック数(アクセス解析)が計測できる 短縮URLサービスによっては、「誰が・いつ・どこから」クリックしたかを追跡できます。これにより、メルマガの開封率や、オフライン広告(チラシに載せたQRコード等)の効果測定が可能になります。
4. レイアウト崩れを防ぐ スマホなどの狭い画面で長いURLを表示すると、画面が英数字の羅列で埋め尽くされてしまうことがあります。短縮URLなら1行で収まるため、デザインやレイアウトを崩しません。
3つのデメリットとリスク
1. 「怪しい」と警戒される可能性がある リンク先が見えないため、「フィッシング詐欺サイトではないか?」と疑われ、クリック率が下がる場合があります。
2. サービス終了リスクがある 利用している短縮サービスが閉鎖・終了すると、過去に発行したURLが全て無効(リンク切れ)になります。(例:Googleのgoo.glはサービス終了済み)
3. 表示速度がわずかに落ちる 中継サーバーを一度経由するため、正規のURLに比べてコンマ数秒の遅延が発生します。
実務で役立つ!短縮URL作成サービスおすすめ10選
数あるツールの中から、ビジネス利用・個人利用それぞれの目的に合わせたおすすめをご紹介します。
【ビジネス・分析向け】信頼性の高い定番ツール
本格的なマーケティングや、信頼性を重視するならこちらがおすすめです。
【登録不要・手軽】すぐに作りたい方向け
会員登録なしで、今すぐURLを短くしたい場合に便利です。
【WordPress利用者向け】プラグインで自作
外部サービスへの依存(サービス終了リスク)を避けたいなら、自社サイトで短縮URLを作るのが最強です。
10. Pretty Links
- WordPressプラグイン。自社ドメイン(例:
yoursite.com/go/campaign)で短縮URLを作成・管理できます。 - メリット: 外部サービスが終了してもリンク切れしない。ブランドの信頼性が高い
【特定プラットフォーム】公式の短縮URL
以下のサービス内のリンクは、自動的またはボタン一つで信頼できる短縮URLになります。これらはユーザーも見慣れているため、安心してクリックされます。
- Amazon (amzn.to): シェアボタンから生成。アフィリエイトなどで必須。
- YouTube (youtu.be): 動画の「共有」から生成。
- X / Twitter (t.co): 投稿内のURLは自動でこれに変換されます。
- 楽天 (r10.to): アフィリエイトリンクなどで使用。
セキュリティ対策:被害者にも加害者にもならないために
短縮URLはフィッシング詐欺の温床になりやすいため、送る側も受け取る側も注意が必要です。
受信者側の対策:クリック前に確認する
「怪しい」と感じたら、クリックする前に「URL伸張サービス(展開サービス)」を使いましょう。
- おすすめツール:aguse.jp
- 短縮URLを入力すると、クリックせずに「本当の飛び先」や「マルウェアの有無」を調査してくれます。
発信者(企業)側の対策:信頼を得るために
- 独自ドメインを使用する:
bit.lyなどの共有ドメインではなく、自社専用の短縮ドメイン(例:Amazonならamzn.to)を使うことで、公式であることを証明できます。 - 重要なメールでは控える: 契約内容の確認など重要なメールでは、短縮URLを使わず、HTMLメールでリンクボタンを設置するか、正規URLを記載しましょう。短縮URLはスパム判定されるリスクがあります。
短縮URLとSEO評価の深い関係
「短縮URLはSEOに不利」という噂は本当でしょうか? Googleの検索エンジンの仕組み(アルゴリズム)の観点から、SEO評価への影響をより専門的に深掘りします。
① 「リンクジュース(SEO評価)」の受け渡し
SEOにおいて、被リンクの評価(ドメインパワーなど)がリンク先のページへ受け渡されることを「リンクジュース」と呼びます。
- 301リダイレクト(恒久的な転送): Bitlyなどの主要な短縮URLサービスは、この方式を採用しています。Googleは301リダイレクトを「ページが移動した」とみなすため、リンクジュース(評価)の90%〜100%が移動先の正規URLに引き継がれます。 つまり、SEO上の損失はほぼありません。
- 302リダイレクト(一時的な転送): 一部の簡易的なサービスではこちらが使われる場合があります。過去、Googleは302リダイレクトで評価を引き継がない仕様でしたが、現在は改善されつつあります。しかし、確実性を求めるなら301を使用するサービスを選ぶべきです。
② クロールバジェット(巡回リソース)への影響
Googleのクローラー(ロボット)がWebサイトを巡回できるリソースには限りがあります(クロールバジェット)。 短縮URLをサイト内で多用しすぎると、クローラーが「短縮URL」→「リダイレクト処理」→「正規URL」と余計な処理を行うことになり、クロール効率が悪化する可能性があります。 そのため、サイト内の内部リンク(記事から記事へ飛ぶリンクなど)には、短縮URLを使用せず、必ず正規のURLを使用するのが鉄則です。
③ 「サイテーション」としての間接効果
SNS(XやFacebookなど)に貼られたリンクには、基本的に「nofollowタグ(検索エンジンに評価を渡さないタグ)」が自動付与されます。そのため、SNS上の短縮URL自体が直接的な被リンク効果を生むことはありません。 しかし、短縮URLによってクリック率が向上し、サイトへの流入(トラフィック)が増えることは、「サイテーション(言及)」や「ユーザー行動」として、間接的にSEOに良い影響を与える可能性があります。
短縮URLに関するよくある質問(FAQ)
短縮URLを利用する際によく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 無料の短縮URLに有効期限はありますか?
A. サービスによります。 会員登録不要の簡易サービスや、「楽天(r10.to)」などの一部サービスでは、一定期間クリックがないとリンクが無効になる場合があります。一方、Bitlyなどの大手サービスでアカウント登録をして作成したリンクは、基本的に無期限で使用可能です。印刷物(チラシ・名刺)に使う場合は、期限切れリスクのない有料プランやWordPressプラグイン(Pretty Links)の使用を強く推奨します。
Q2. 作成した後に、リンク先を変更できますか?
A. 「ダイナミックリンク」機能があれば可能です。 多くの無料版サービスでは、一度作成した短縮URLの飛び先を変更することはできません。しかし、Bitlyの有料プランやPretty Linksなどの高機能ツールでは、短縮URL(入り口)は変えずに、転送先(出口)だけを後から変更することが可能です。キャンペーン終了後にトップページへ誘導したい場合などに便利です。
Q3. QRコードにする場合、短縮URLにする必要はありますか?
A. 非常に推奨されます。 QRコードは、情報量(文字数)が多いほどドットが細かくなり、スマホカメラでの読み取りが難しくなります。長い正規URLをそのままQRコードにするよりも、短縮URLにして文字数を減らしてからQRコード化する方が、画像がシンプルになり、読み取り精度が劇的に向上します。
Q4. 短縮URLを使うとGoogleアナリティクスで計測できますか?
A. 可能ですが、パラメータの付与が必要です。 短縮URL経由のアクセスは、Googleアナリティクス上で「Direct(直接流入)」や「Referral(参照)」として扱われることが多く、正確な流入元が分からなくなることがあります。 正確に計測したい場合は、元のURLに「UTMパラメータ」を付与してから短縮することをおすすめします。
- 例:
example.com?utm_source=twitter&utm_medium=socialを短縮してbit.ly/xyzにする。
まとめ
短縮URLは、Webマーケティングにおいて非常に強力なツールですが、使い方を誤ると「リンク切れ」や「信用低下」を招きます。
- 信頼性重視なら: Bitly や WordPressの Pretty Links
- 手軽さ重視なら: X.gd や 00m.in
- 運用ルール: 重要な内部リンクには使わず、SNSやメルマガでの集客用として活用する。
用途に合わせて最適なツールを選び、安全で効果的なマーケティングを行いましょう。


